一燈園が目指しているのは、不幸や争いをなくし、平和のうちに過ごすことのできる世界を実現することです。一燈園の平和活動の特色は、不幸や争いを作り出す原因が一人一人の心の中にもあると見て、心の持ち方を変えようとすることにあります。
不幸や争いを作り出す原因が一人一人の心の中にあるということは、とりもなおさず、自分の中にもそれがあるということでしょう。
一燈園生活者は、世の中のさまざまな不幸なできごとを見聞きするたびに、その不幸を作った原因が自分にもないか、知らず識らずのうちに自分の心持や生活が不幸を生むことにつながってはいないか、と自省します。そして、不幸にあった人、痛みを感じている人に、済まなかった、お許しくださいと、おわびの念を向け、懺悔の生活を続けてゆくのです。
一燈園生活者は、不幸や争いを作り出す原因が各人の心の中にあることに、一人でも多くの人が気づいて欲しい、そして、そのことに気づいた人たちと手を取り合って進みたい、と願っています。そのような同志にめぐり会わせていただけることを想う時、今度は感謝の気持ちが一燈園生活者の内にふつふつと湧いてきます。
一燈園生活者の生活は、このような、おわびと感謝の気持ちに貫かれています。光明祈願、天華香洞録抄一事実、転禍為福三重の願、六万行願歌など、一燈園生活の創始者西田天香さんが作ったさまざまな祈願文には、このおわびと感謝の気持ちが深く込められています。
一燈園生活がまだ初期の頃、その実践がおのずから内に蔵していた願いを条文化し、一燈園生活の基本となるもの(生活清規)として整えたものが光明祈願(こうみょうきがん)です。光明祈願は5つの綱領と付随文からなります。
一燈園では、それぞれ家族を持ちながら、一体となって共同生活を営んでいる人たちを「同人(どうにん)」と呼び、同人たちは各部門に分かれて、お年寄りにいたるまで、分に応じて働いています。その働き(托鉢)の成果は、社会や個人において「おひかり」が輝き増すよう、積み立てられ、捧げられてゆきます。すべてが預かりもので、私のものというものではなく、必要なものは必要に応じて「おひかり」から与えられるのです。
光明祈願(こうみょうきがん)をはじめ、天香さんが祈りの中で導き出された行いや記録の数々をご紹介します。
平成23年の年頭、一燈園当番西田多戈止は、天香さんの精神とそれに基づく諸行事の永久的開催と継承を発願し、この願いを具体化すべく一燈園托鉢会が同年2月1日に発足いたしました。一燈園托鉢会は、一燈園生活創始者西田天香の精神を継承・保存・研究し、そこにおいて見出された知見から一燈園の名を冠する諸行事を監督指導する役割を、また、一燈園生活者の冠婚葬祭に際しては、儀礼を執り行う司祭としての役割も担うことになっております。