一燈園の折り

関東大震災と三重の願 ―西田天香さんの精神と軌跡

 1923(大正12)年9月1日、大地震が関東を襲い、首都東京をほとんど壊滅状態に陥れました。いたる所に火災が発生し、火の犠牲になる人も多く、流言蜚語(りゅうげんひご)が飛び交い、被災地は混乱と悲惨を極めました。
 天香さんは、傷つき犠牲となった人たちに本当の慰藉(いしゃ)を届けるためには、この未曾有の大災難を、人間文明のおごりに対する天のお叱り、天の戒めとして受け止め、まず深く懺悔することから出発すべきでないか、と祈られ、「三重の願(さんじゅうのがん)」を発願したのでした。


「三重の願」天香さん草稿
 1923(大正12)年

(1)個人としては、死なぬ生命を得られますように
(2)国民としては、毀(こわ)れぬところに財物を蓄え、精進して地上にも宝と富を得ますように
(3)人類としては、怨み合いを無くし争わず、愛の心によって理想の世界実現に近づきますように

天香さんは、早暁(そうぎょう)、京都御所に幾度も詣で、地に伏し天を仰いで祈ったといいます。

 「このこころとからだのもちかたと、せいかつのざんげのじっこうによって、おいのりいたします。どうぞおまもりください。たらぬところをびしびしとうってください。そうして、よきおつれをたくさんめぐんでください……たくさんのないがいの、いろいろのひとが、そうだちになって、このいのりをつよめてくださるようにどうぞおまもりくださいませ……」

 天香さんは、被災地の難民救護のための救援隊を一燈園から出動させるとともに、現地の人々と力をあわせて、傷ついた人々や焼け出された子どもたちの救護、食料の炊き出しなど、被災地の各地での救援活動に尽力されました。

▼西田天香さんの精神と軌跡

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